死亡による逸失利益
死亡による逸失利益とは、「もし、被害者が生きていたとすれば、これから先に当然に得られたであろう利益」のことです。亡くなった被害者の年収から生活費分を引いた金額を、本来働くことが可能だった年数分(通常67歳まで)、故人の相続人が請求できます。
ライプニッツ係数
逸失利益は、被害者が生きていたら将来得られたはずの収入を前倒しで一括でもらうことになるので、例えば、目の前の100万円と5年後の100万円では価値が異なるという考え方に立って、複利で運用したと考えて、5年後に100万円になる元本を算定して支払われます。この時に使う係数をライプニッツ係数といいます。現在は民法の法定金利が5%と言う事もあり、年5%複利で運用するとして係数が算出されています。
生活費控除率
被害者が死亡した場合、被害者が生きていた場合に必要だったはずの生活費がかからなくなるという考えから、死亡による逸失利益を計算する際に、収入から被害者本人が必要としたであろう生活費相当額が控除されます。
控除される生活費の割合については、実務上一応の基準が設けられています。
一家の支柱の場合 … 30~40%
女性(女児・主婦を含む) … 30~40%
独身男性(男児を含む) … 50%
就労可能年数
被害者が死亡しなければ働けたであろう年数を就労可能年数といいます。就労可能年数は、原則として、死亡時から67歳までの期間とされています。被害者が子どもや学生の場合、就労開始年齢は死亡時ではなく、18歳または22歳(大学卒業を前提とする場合)となります。なお、被害者が年金をもらって生活していた場合は、平均余命年数を終期として逸失利益の額が算定されます。
死亡による逸失利益の事例集