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過失相殺(かしつそうさい)

交通事故を起こして損害賠償をする場合に、一方的に過失があると認められるケースはあまりありません。

お互いに悪いところがあるのが通常です。そのような場合に損害賠償の額の減額が生じます。それが過失相殺(かしつそうさい)です。

 

なお、相手方からの損害賠償と、自分の損害賠償を相殺(そうさい)するということはできません。民法509条は不法行為によって生じた債権を受働債権とする相殺の禁止しています。過失相殺とは場面がことなりますので、同じ「相殺」という文言を使用していたとしても、その場合とは区別してください。

過失相殺が適用される人

過失相殺は、被害者側に事理弁識能力(じりべんしきのうりょく)が必要とされます。事理弁識能力とは、ものごとの善悪を判断することのできる能力のことを言います。具体的には、7歳程度であると認められることが多いです。

ということは、被害者である2歳児に過失があったとしても、加害者の主張する過失相殺は認められないということになります。

似ている事例ですが、過失相殺が認められる可能性があるケースとしては、母親が5歳になる子供と歩いていて、目を離したすきに子供が交通事故にあったとしたら、それは子供への過失相殺ではなく、母親への過失相殺として請求すれば認められる可能性があります。

このように、被害者のみを考えるのではなく、被害者側として、考えます。つまり、一人として考えるのではなく、グループとして考えるのです。

 

認められる被害者側の範囲

被害者側として認識されるには「身分上、生活上一体をなす関係」であることが必要です。

具体的には、

配偶者

父母

兄弟姉妹などの親族

などが被害者側として認められやすくなります。

 

なお、配偶者に関しては実質上婚姻関係が破綻していると、被害者側としては認められません。

 

過失相殺の事例

車同士の事故の場合

バイクと車の事故の場合

まず、バイクには10%から20%の過失割合のマイナスが計算された状態となっており、車よりも有利な状況になっています。

高速道路上の事故の場合

歩行者と車の事故の場合

歩行者と自転車事故の場合

治療費の過失相殺

過失相殺は事故発生時だけではありません。治療中に医者の指示に従わなかった結果、症状が悪化すれば被害者に過失が認められ治療費の請求額の減額が認められるようになってしまいます。

 

自賠責の過失相殺

自賠責の過失相殺は、被害者に重大な過失がある場合にのみ認められます。

 

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