死亡による逸失利益 - 就労可能年数
死亡による逸失利益とは
死亡による逸失利益とは、「もし、被害者が生きていたとすれば、これから先に当然に得られたであろう利益」のことです。亡くなった被害者の年収から生活費分を引いた金額を、本来働くことが可能だった年数分(通常67歳まで)、故人の相続人が請求できます。
就労可能年数とは
被害者が死亡しなければ働けたであろう年数を就労可能年数といいます。
●就労可能年数は、原則として、死亡時から67歳までの期間とされています。
●被害者が子どもや学生の場合、就労開始年齢は死亡時ではなく、18歳または22歳(大学卒業を前提とする場合)となります。
●被害者が年金をもらって生活していた場合は、平均余命年数を終期として逸失利益の額が算定されます。
●高齢者については平成20年簡易生命表(※1)の余命年数の2分の1と67歳までの就労可能年数のいずれか長期の方を採用します。
※1 厚生労働省大臣官房統計情報部「平成20年簡易生命表」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life08/dl/gaikyou.pdf
例えば(1)
交通事故で亡くなった、開業医の男性(56歳)の場合…
70歳まで就労が可能であるとした。
例えば(2)
交通事故で亡くなった、会社役員男性(61歳)の場合…
就労可能年数を平均余命の2分の1(10年)とした。
筝曲師範の女性(54歳)につき、就労可能年数を70歳までとした(京都地判昭62.5.6)
近い将来に長男家族と同居予定だった女性(72歳)につき、就労可能年数を平均余命の2分の1(7年)とした(東京地判平8.5.15)
会社役員男性(61歳)につき、就労可能年数を平均余命の2分の1(10年)とした(神戸地判平9.2.26)