交通事故 慰謝料
慰謝料とは、被害者に生じた精神的損害に対する損害賠償です。
交通事故の慰謝料には、
●被害者が死亡してしまった場合の死亡慰謝料
●被害者がケガをして、その治療のために入院・通院をした場合の入通院慰謝料(傷害慰謝料)
●治療は終わったが後遺症が残ってしまった場合に請求する後遺症慰謝料
の3種類があります。
慰謝料の金額を定める基準として、自賠責保険の基準、任意保険会社の基準、裁判基準があります。自賠責の基準は定額が定められています。任意保険会社の基準は保険会社が独自に定めた基準です。裁判基準は裁判所で認定される相場を示した基準です。
※裁判基準とは、裁判所で認められる相場の事ですが、このようなものを公開しているわけではありません。ここではこれを推知する資料として日弁連の基準に従っています。
死亡慰謝料は、被害者の立場によってその金額が増減します。
=死亡者が一家の支柱の場合=
保険会社(任意保険)基準の慰謝料額
1450万円+被害者の年齢・性別・職業・生活環境・地域差・判例の傾向などを考慮して加算
※各保険会社が独自の基準を持っており、対外的に公表されていません。
裁判基準の慰謝料額
2600万円~3000万円
入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、入通院期間、入通院実日数により判断されます。
自賠責基準の慰謝料額
1日4200円の定額
保険会社(任意保険)基準の慰謝料額
各保険会社が独自に保険額を定めていて公表されていません。
裁判基準の慰謝料額
日弁連の「損害賠償額算定基準」が参考になります。裁判基準の慰謝料額と比べると、保険会社の基準は低額になっています。
後遺症慰謝料は、後遺症が残ったことから受ける精神的苦痛に対する賠償です。
自賠責基準の慰謝料額
自賠責の定める「後遺障害等級」によって基準が定められています。
保険会社(任意保険)基準の慰謝料額
各保険会社が独自に保険額を定めていて公表されていません。
裁判基準の慰謝料額
日弁連の「等級別算定基準」が参考になります。裁判基準の慰謝料額と比べると、保険会社の基準は低額になっています。
相手方の保険会社から任意保険会社の基準により慰謝料額が提示されますが、往々にして裁判基準より低額です。任意保険会社の基準に従わなければいけない理由はないので、裁判基準により交渉をすることをお奨めします。
あなたが被った被害は、正当に評価されていますか?
交通事故に関して専門の知識を持った弁護士に相談して、適正な慰謝料を勝ち取ってください。
慰謝料とは
交通事故では、人身事故の場合にのみ慰謝料が発生します。
車と車の事故で修理費が発生したときや、車と物の事故で弁償代が発生したような場に慰謝料は発生しません。
慰謝料は、死亡慰謝料、入通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺症慰謝料に分けて考えられます。
死亡慰謝料
死亡慰謝料額は定型化されている
慰謝料の定型化のため、日弁連の交通事故相談センターでは「交通事故損害額算定基準」を設定しています。この基準で提示されているのは、死亡者1名あたりについての金額で、死亡した者の年齢、家族構成などにより異なった金額を定めています。なお、慰謝料には、死亡した被害者本人の慰謝料(これを遺族が相続します)と遺族自身の慰謝料の両方が含まれているので注意が必要です。
死亡した者が一家の支柱の場合
一家の支柱とは「被害者の家庭が主に被害者の収入で生活をしていること」です。この場合の慰謝料は2600~3000万円となっております。
一家の支柱に準ずる者の場合
一家の支柱に準ずる者とは、家事をする主婦や養育が必要な子供をもつ母親、また、独身者であっても高齢な父母や幼い弟妹を扶養していたりする者などです。慰謝料は2300~2600万円です。
それ以外の場合
2000~2400万円となります。
上記の金額の範囲内で、その被害者ごとの具体的な事情を加味して算出されます
※被害者本人の慰謝料と遺族自身の慰謝料
被害者が死亡した場合、被害者本人の慰謝料は相続人が相続します。
これとは別に、遺族自身にも固有の慰謝料請求権が認められています。死亡した被害者の父母または配偶者、子は自分自身の精神的苦痛を理由に慰謝料を請求できるのです。
入通院慰謝料
交通事故による入院・通院の期間や実日数に応じて基準額が決められています。 例えば、事故により傷害を負ったのに仕事が忙しくて、痛みがあるのにもかかわらず通院を我慢してしまった場合、同じ程度の傷害を負い足繁く通院していた人と比べて慰謝料が低く評価されてしまいます。痛みのある場合は無理をせずに通院することが、健康のためにも賠償請求上からも大切なのです。
後遺症慰謝料
後遺障害の等級は、以下のように1級から14級までの14段階に分かれており、等級により後遺障害慰謝料が判断されます。
後遺障害等級と慰謝料
等級 | 金額(単位:万円) |
1 | 2,700~3,100 |
2 | 2,300~2,700 |
3 | 1,800~2,200 |
4 | 1,500~1,800 |
5 | 1,300~1,500 |
6 | 1,100~1,300 |
7 | 900~1,100 |
8 | 750~870 |
9 | 600~700 |
10 | 480~570 |
11 | 360~430 |
12 | 250~300 |
13 | 160~190 |
14 | 90~120 |
(日弁連交通事故相談センター算定基準21訂版)
適正な金額の慰謝料を受け取るには
交通事故は、まったく同じ条件のもとでは起こりません。相場とされる慰謝料は参考として捉え、それぞれの事故状況や、当事者の事情を考えたうえで算定する必要があります。
例えば、事故態様に、無免許、ひき逃げ、酒酔い、著しいスピード違反などの悪質性が顕著に認められる場合には、慰謝料の増額が認められる場合があります。しかし、示談交渉で保険会社の担当の言いなりになっては、慰謝料の増額は認められないでしょう。
保険会社から慰謝料の提示があった場合、まずはその金額が適正なものであるかを調べてみることをお奨めします。保険会社も出来るだけ支払う金額を抑えるのが仕事です。そして、事故の状況や態様、ケガや後遺症の度合いによって適正金額は定まっていません。
慰謝料の提示金額に疑問を抱いたり、保険会社との交渉に行き詰まったときは、交通事故での損害賠償に関する専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼するなら、依頼者の立場に立ってくれる、専門知識が豊富な交通事故に強い弁護士を探すことが大切です。