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付添看護費の事例

入院付添費

医師の指示または受傷の程度、被害者の年齢等により必要があれば職業付添人の部分には実費全額、近親者付添人は1日につき6500円が被害者本人の損害として認められます。ただし、症状の程度により、または被害者が幼児、児童である場合には、1割~3割の範囲で増額が考慮される場合があります。

腰痛、吐き気等(12級)の主婦兼会社員の女性(28歳)につき、自宅療養であっても付添看護の必要性を認める医師の診断があったこと等から、約2年間の自宅療養期間について、304日は近親者付添日額5000円、271日は職業付添日額6500円、合計328万円余を認めた(横浜地判平19.6.28)

遷延性意識障害等(1級3号)の男子高校生(17歳)につき、重篤な容態やリハビリを要する事情から、父母の近親者入院付添費として、960日間、日額7000円、合計672万円を認めた(千葉地判平17.7.20)

通院付添費

症状または幼児等必要と認められる場合には被害者本人の損害として認められます。この場合1日につき3300円。ただし事情に応じて増額が考慮される場合があります。

頭部外傷後の外傷性神経症(9級10号)、外貌醜状(12級14号)、言語障害(10級2号)、左眼瞼障害(12級2号)、耳鳴り(14級、併合8級)の主婦兼パート(固定時46歳)につき、入院期間(36日間)および通院(実日数199日)の際の夫の付添費として、入院日額6500円、通院日額3300円、合計89万円余を認めた(東京地判平17.12.21)

症状固定までの自宅付添費

重度の高次脳機能障害、半盲、四肢麻痺等(併合1級)の大学院生の男性(固定時27歳)につき、受傷内容、治療状況に照らして家族による付添介護が必要であり、症状が重いことから、症状固定前の介護費として入院期間も含めて日額8000円、831日間、合計664万円余を認めた(東京地判平16.6.29)

将来介護費

医師の指示または症状の程度により必要があれば被害者本人の損害として認められます。職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日につき8000円とし、具体的看護の状況により増減することがあります。


脳機能障害

四肢麻痺、遷延性意識障害等(1級3号)の男子高校生(17歳)につき、自動車事故対策機構の療養施設に入所中であるが確実に継続される保証がないとし、母が67歳になるまでは母が主体となり、父が補佐的に24時間介護を行い、職業介護1日3時間の介護が続くことから、近親者1万円、職業介護人6000円の合計日額1万6000円、以降平均余命までは職業介護人2名交代制により日額1万8000円、合計1億1678万円余を認めた(千葉地判平17.7.20

遷延性意識障害等(1級1号)固定時8歳の男児につき、固定時においても生後8ヶ月以下の発達レベルに過ぎず、運動面では生後5ヶ月レベルにとどまり、四肢拘縮も強いこと、母と祖父が常勤の職にあることから、祖母が67歳に達するまでの11年間は近親者介護に職業付添人1名を加えた介護体制(日額1万6000円)、以降は職業付添人2名の介護体制(日額2万4000円)として、合計1億4519万円余認めた(大阪地判平19.7.26)

頭部外傷に伴う躯幹失調、四肢不全麻痺、複視等(併合1級)の固定時45歳の兼業主婦につき、会社員の夫が就労時間中は職業介護人、その他の時間は夫が介護しているが、定年後長期にわたって夫だけで介護できるとはいえないとして、平均余命41年間、日額1万8000円、合計1億1362万円余を認めた(東京地判平16.5.31)

脊髄損傷

体幹・四肢麻痺、呼吸筋麻痺(1級1号)の被害者男性(固定時24歳)につき、体重90kgであること、痙性でいきなり手足が硬直することがあること等から、妻60歳までは職業介護1.5名分2万1000円と妻8000円の合計日額2万9000円、妻が60歳以降は職業介護2名分日額2万800円、合計1億9503万円余を認めた(大阪地判平19.4.10)

その他の障害

左右下肢の機能障害(併合5級、既存障害8級の加重障害)の主婦(固定時82歳)につき、歩行不能のため日常生活に付添介助を要し、現在長女の介護を受けているとして、日額3000円、平均余命9年間、合計778万円余を認めた(神戸地判平16.8.18)

その他の介護関係費用

四肢麻痺、呼吸困難、発声不能等(1級3号)の日雇労働者の男性(固定時57歳)の将来の入浴費につき、市の入浴サービスの上限週1回を超えると全額自己負担(1回1万3250円)になり、週3回程度の入浴が必要であるとして、平均余命期間、合計2007万円余を認めた(東京地判平16.5.20)

日常生活すべてに付添人の看護が必要な1級の男性被害者(固定時72歳)について、特別養護老人ホームへの入所保証金2300万円のうち返還を受けられない償却部分(1894万円余)と、施設利用料(月額25万円、平均余命11年間、2478万円余)の合計4373万円余を認めた(名古屋地判平5.8.27)

 

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