HOME > 事例集 > 後遺症による逸失利益 > 遷延性意識障害(植物状態)の例

後遺症による逸失利益 - 遷延性意識障害(植物状態)の事例

算出方法はこちら

遷延性意識障害(植物状態)の逸失利益を算定するときに、問題となるのは主に「植物状態である被害者の余命年数」と「植物状態である被害者の生活費」のふたつです。

 

余命年数について
植物状態患者は、一般人の平均余命年数まで生存する可能性が低いという統計があることから、逸失利益を計算する際に、短縮して考えるべきとの意見もありますが、裁判では一般人の平均余命年数とする考えが多数派です。

 

生活費について
植物状態患者は、将来の付添看護費が認められているし、外出をすることもないので生活費がかからないはずである。そこで逸失利益から健康な人より節約できた生活費に相当する額を控除すべきとの意見もありますが、裁判ではこのような控除は認めない傾向にあります。一方、被害者の具体的状況を判断し、生活費を控除すべきとした判例もあります。

 

例えば

交通事故で植物状態になってしまった大学生(固定時22歳)の場合…

「推定余命は10年である。」という加害者側の主張をしりぞけて、22歳から67歳までの45年間100%の労働喪失が“生活費控除なし”で認められ、損害賠償を受けることができました。

 

男子小学生(固定時8歳)の遷延性意識障害、射幹・四肢の運動麻痺等(1級3号)につき、生存可能年数を相当範囲に限定すべきとの被告の主張をしりぞけて、8歳男性の平均余命を認定し、18歳から67歳まで100%の労働能力喪失を認め、かつ生活費控除をしなかった(大阪地判平13.9.10)

男子大学生(固定時22歳)の脳挫傷による植物状態(1級3号)につき、推定余命10年との被告主張をしりぞけて、22歳男性の平均余命と認定し、22歳から67歳までの45年間100%の労働能力喪失を認め、かつ生活費控除しなかった(東京地判平10.3.19)

 

ページトップへ