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後遺症による逸失利益 - 嗅覚・味覚障害の事例

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交通事故のケガによって、味覚や嗅覚が減退または無くなってしてしまうと、日常生活が味気ないものとなってしまい、大変な苦痛を味わうこととなります。しかし、直ちに労働能力が喪失するかについては疑問があり、逸失利益が認められるかについて、裁判では肯定するものと否定するものに分かれています。 調理師や寿司職人、主婦などについては、労働能力の喪失が認められる傾向が強く、嗅覚や味覚が仕事をする上で特に重視されない職業については、否定される可能性が高くなっています。

 

例えば

交通事故により、においをまったく感じなくなってしまったうえ、その他の後遺障害が残った幼稚園教諭(43歳、女性)の場合…

嗅覚が無くなったことにより、通常の職についている女性と比べ、一層の支障を来たしているとして、24年間20%の労働能力喪失が認められ、損害賠償を受けることができました。

 

調理師・料理店経営の男性(固定時59歳)の嗅覚脱失(12級)につき、嗅覚は素材の良否や完成した料理の風味いかんを見極める等、料理人の技術を発揮するうえで極めて重要な感覚のひとつであり、これを失ったことは料理人として致命傷に近い状態と評価すべきとして、平均余命の2分の1(10年間)20%の労働能力喪失を認めた(東京地判平13.2.28)

花屋経営の女性(固定時30歳)の嗅覚脱失、脳挫傷後の精神・神経障害等(併合11級)につき、事故後に花屋を閉店し花関係のアルバイトをしているが錯覚臭が続くと体調が悪くなり、嗅覚がなく仕事上支障があること、料理、掃除等家事労働にも影響を受けているとし、他方で頭部の疼痛は慣れ等により労働に対する影響が逓減(ていげん)していくとして、10年間20%、その後27年間14%の労働能力喪失を認めた(東京地判平18.3.14)

 

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