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後遺症による逸失利益 - 外貌醜状の事例

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交通事故によって、顔面など人目に触れる可能性のある身体の部位(外貌)に目立つほどの傷跡(醜状)が残ってしまった場合、後遺障害として認定されます。ところが、逸失利益が認められるかについては争いがあります。逸失利益とは労働能力の喪失の割合で決定されますが、「見た目」については労働能力に直接影響しないため、逸失利益が認められないとする考え方があるのです。
裁判では、傷の部位、程度、性別、年齢、職業、業務に対する支障、就職・転職の可能性等を考慮して労働能力喪失の有無、喪失率、喪失期間が判断されます。

- 職業について 年齢について
対象 女優、ファッションモデルなど 接客業、対人折衝が多い仕事 未成年、若年者
内容 容貌が特別に問題となる職業であれば比較的容易に認められる 認められる場合がある 就職、転職の可能性が 制限されることが多いので認められやすい

例えば

交通事故により、顔面の変形・醜形その他の後遺障害が残った31歳女性すし職人場合…

労働能力喪失が認められ、56%36年間分の損害賠償を受けることが出来ました。

女性の外貌醜状

7級の例

女性会社員(27歳)の顔面醜状(7級)及び脚長差(13級)につき、20年間56%、その後20年間9%の労働能力喪失を認めた(岡山地判平9.3.24)

トレーナー生保外務員の女性(事故時36歳)の外貌醜状(7級)、右眼球障害(12級1号、併合6級)につき、外貌醜状による稼働・収入獲得能力の低下の程度は加齢によって低下していくとして、休業期間の終わった36歳から20年間40%、その後11年間14%の労働能力喪失を認めた(名古屋地判平14.8.14)

12級の例

歯科衛生士の女性(固定時28歳)の左下腿リンパ浮腫(7級4号)、左右の下肢瘢痕拘縮(各12級、併合6級)につき、両下肢の瘢痕の大きさやそのために本人に生じる精神的負担及び仕事に対する萎縮的効果、未婚女性であることを考慮し、瘢痕は労働能力に相応に影響するとして、39年間67%の労働能力喪失を認めた(神戸地判平15.8.8)

会社員女性(固定時29歳)の顔面醜状(12級14号)、下顎骨折に伴う左顎痛(12級12号)、7歯欠損(12級3号、併合11級)につき、外貌醜状により接客や対人間関係の障害による就労への悪影響があるとして、21年間20%の労働能力喪失を認めた(東京地判平13.8.7)

14級の例

女子小学生(事故時9歳)の右下肢露出面の醜状痕(14級5号)につき、同級生から傷跡の指摘をされ、プールや公衆浴場の使用を避けたり、皮膚科を受診した際に足の傷を見られることを嫌がったりしたこと等から醜状痕が被害者の行動を制限しているとして、被害者が将来を考える上で、本件事故による醜状痕によって行動や発想の制限を受け、職業について自由に考え選択することができないと認め、賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎に、就労後5年間5%の労働能力喪失を認めた(横浜地判平21.4.23)

後遺障害等級非該当だが労働能力喪失が認められた例

主婦兼女優・ホステス(固定時40歳)の肩甲部痛、上肢シビレ、頸部背部痛、三叉神経麻痺、歯牙障害(併合11級、眼瞼下垂は自賠責非該当)につき、頸部痛、眼瞼下垂、右上肢知覚障害は就労先の選択を狭め職務内容にも制限が伴い、殊に女優やホステスとしての稼働に眼瞼下垂は重大な支障を生じさせるとして、当初5年間は日額2万円余を基礎に35%、次の15年間は賃金センサス全労働者全年齢平均を基礎に20%、その後7年間は賃金センサス女性全年齢平均を基礎に14%の労働能力喪失を認めた(東京地判平16.3.23)

男性の外貌醜状

5歳男児の顔面、左上肢ないし肩の醜状瘢痕(12級)、開瞼障害(12級、併合11級)につき、顔面醜状が将来の就職や対人折衝において不利益を生じさせ、選択できる進路や職業の範囲を狭めたり、減収を生じる可能性が想定できるとし、開瞼障害も斟酌し、18歳から67歳まで14%の労働能力喪失を認めた(京都地判平11.6.29)

男子予備校生(事故時19歳、固定時29歳)の頸部、腰部の神経症状(各14級10号)、顔面醜状(12級13号、併合12級)につき、男性といえども醜状痕によって希望する仕事への就職が制限されたり、就職しても営業成績が上がらなかったり、仕事の能率や意欲を低下させて所得に影響を与えることは十分考えられるとして、症状固定から10年間10%、その後10年間5%の労働能力喪失を認めた。(東京地判平13.8.22)

 

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