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後遺症による逸失利益 - 自賠責保険の認定より高い算定事例

自賠責保険では「非該当」とされたり、「低い等級」に認定されていた後遺障害が、裁判で適正な等級に認定されることにより、結果として逸失利益がより高額に算定される事例があります。

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例えば
交通事故でケガをして後遺症が残っているのに自賠責で後遺障害等級認定が非該当とされた31歳女性の場合…

自賠責保険で非該当とされた首の痛みが、後遺障害7級として認められ、賃金センサス女性全年齢平均を基礎として計算した27年間分の逸失利益を受け取ることができました。

自賠責保険では非該当とされたが後遺障害が認められた例

精神・神経症状

塾講師・家庭教師の女性(固定時43歳)の両上下肢麻痺及び排尿障害(自賠責非該当)につき、MRI画像等により第6頸椎・第7頸椎間に外傷性椎間板ヘルニアが発生していること、右椎間板ヘルニアにより脊椎損傷を生じたことが認められ、本件事故後両上下肢麻痺及び排尿障害が生じたことなどからすれば、右症状は社会通念上本件事故によって脊椎損傷を負ったために生じたものと認めるのが相当であるとして1級相当とし、賃金センサス女性学歴計40歳から44歳平均の7割を基礎に、67歳まで100%の労働能力喪失を認めた(神戸地判平20.4.11)

被害者女性(固定時31歳)の両上下肢の運動障害、立位・歩行不能(自賠責は再度の認定申請でも非該当)につき、頸髄損傷ではないが事故以前には症状が全くなかったことから事故に起因し後遺障害等級5級2号に該当するとし、38年間79%の労働能力喪失を認めた(神戸地判平14.1.17)

主婦(固定時40歳)の頸部痛など(自賠責非該当)につき、全脊柱前弯変形、両下肢筋力低下と知覚鈍麻が存するとして7級と認め、賃金センサス女性全年齢平均を基礎に、27年間56%の労働能力喪失を認めた(浦和地判平12.3.29)

アルバイト女性(固定時25歳)の左肩鎖関節脱臼、頸部挫傷による左手母指外傷後痙性内転位(限局性ディストニア)及び左肩・左上腕の痛み・だるさ(自賠責非該当)につき、左手母指痙性内転位は精神的要因によるものであるが本件事故との因果関係が認められるとして、41年間14%の労働能力損失を認めた(名古屋地判平21.2.27)

目や耳の障害

女子中学生(事故時15歳、自賠責は頸部痛14級10号)の目の調整機能障害(自賠責非該当)につき、11級とし、頸部の症状とあわせ、49年間20%の労働能力喪失を認めた(大阪地判平13.3.23)

洋菓子店勤務予定の女性(固定時26歳、自賠責14級10号部分は示談済み)の頸椎捻挫等に起因する両眼の視力低下を中心とする両眼眼球の著しい調節機能障害等(自賠責非該当)につき11級に相当するとし、示談済みの5%分を控除して、41年間の15%の労働能力喪失を認めた(旭川地判平11.1.26)

会社員男性(固定時38歳)の頸椎捻挫後の目の調節力障害、外斜視、複視(自賠責非該当)につき、事故との因果関係を認め、減収は生じていないが、種々の苦痛を覚え、また実際の不便が生じており、今後、減収や転職を余儀なくされることも予想されるとして、29年間5%の労働能力喪失を認めた(横浜地判平19.1.18)

上肢・下肢の機能障害等

中学1年生男子の左環指開放骨折による爪の変形、循環障害(自賠責非該当)につき、OA機器を効率的に利用するには手の10指が十分に機能することが望ましいとして、18歳から67歳まで49年間2%の労働能力喪失を認めた(仙台地判平7.8.29)

建築の現場監督者男性(固定時30歳)の両下肢三大関節全ての機能障害(自賠責非該当)につき、事故から直接に生じた症状はないが、両膝打撲に対する治療のための固定具使用を契機に弾発股の既往症が再発したものであり、そのうち股関節と膝関節の障害の程度は著しいとして9級に該当するとし、37年間35%の労働能力喪失を認めた(神戸地判平12.7.6)

自営業・家事従事者女性(固定時52歳)の左肩痛と左肩可動域制限(自賠責非該当)につき、左肩関節の可動域が2分の1以下に制限されていること等から、15年間27%の労働能力喪失を認めた(名古屋地判平20.3.21)

その他

会社員男性(固定時57歳、自賠責は右下肢短縮13級9号)につき、事故による輸血で発症したC型肝炎(自賠責非該当)を12級に該当するとして、併合11級とし、10年間15%の労働能力喪失を認めた(大阪地判平7.12.4)

男子大学生(卒業後アルバイト)のすい臓、肝臓破裂後の立ちくらみ、疲れやすい等の自覚症状及び腹部の手術痕(非該当)につき、10年間4%の労働能力喪失を認めた(神戸地判平9.3.12)

エステティシャン女性(事故時34歳、自賠責はそしゃく機能障害(10級2号)、左肩関節機能障害(10級10号)等併合9級)の左肩腕の不随意運動(自賠責非該当)につき、頸髄損傷によるミオクローヌス(筋肉の一部が急に不規則に収縮する症状)によるものとし、左肩関節は用廃状態、左手の能力もほぼ喪失に近く、エステティシャンとしての仕事が不可能になっただけでなく日常生活にも影響が出ているとして、67歳まで75%の労働能力喪失を認めた(東京地判平18.12.27)

自賠責保険における等級の認定よりも上位等級が認定された例

精神・神経症状

喫茶店経営者の女性(固定時47歳)の外傷性膵損傷術後膵瘻(すいろう)、むち打ち損傷、椎間板ヘルニア、両下肢痛(自賠責は11級11号)につき、食事では箸を充分に使えず、衣類の着脱には介助を要し、屋外歩行には杖による補助を要する状態であり、自覚症状とはいえ労働のみならず日常生活での行動が著しく制限されている状況にあるとして5級(7級4号及び5号の併合)に該当すると認め、事故時の営業収益を基礎に20年間79%の労働能力喪失を認めた(浦和地判平4.4.2)

旅館経営者女性(75歳、自賠責は脾臓喪失、左右下肢疼痛、併合7級)につき、入院して長期寝込んでしまい、本人のリハビリの意欲や既往症などの影響で筋力が低下(筋萎縮)し寝たきり状態となり、痴呆を発症することは通常予想しえるとして1級相当とし、4年間100%の労働能力喪失を認めた(高松高判平12.11.30)

宮大工の男性(固定時54歳、自賠責は左膝疼痛14級10号)につき、両手のしびれ、頭痛及び腰痛等は他覚的所見が明らかでないものの、左下肢に神経症状が残存し歩行が困難であるから、全体として9級10号に該当するとして、13年間35%の労働能力喪失(中間利息控除は事故時から)を認めた(名古屋地判平14.1.25)

産婦人科医師男性(固定時34歳、自賠責は頸部疼痛、両上肢痺れ14級10号)につき、自賠責は頸椎可動域制限を評価していないからこの等級認定を参考にできないとし、職業上、手術に従事することは避けられず、頸椎の可動域制限が手術の遂行に影響を及ぼすことが考えられることから、33年間15%の労働能力喪失を認めた(東京地判平19.5.28)

上肢・下肢の機能障害等

自動車解体改造業者の男性(固定時31歳、自賠責は右下肢短縮等13級9号)につき、右下肢短縮(13級9号)のほか、右膝関節機能障害につき自賠責認定基準の運動可能領域よりわずか2.5度広く可動するものの右脛腓骨変形癒合等が認められることから12級7号に相当し、併合11級相当として、36年間20%の労働能力喪失を認めた(水戸地判平10.9.7)

派遣ミキサー車運転手兼鉄道保全軌道工の男性被害者(固定時37歳)の右手月状骨骨折等による右手関節痛を含む右手関節の可動域制限(自賠責12級6号)につき、症状固定時点で健側の52%とほぼ2分の1に制限されていること、当初から障害の増悪が見込まれており実際に1年後には健側の32%に増悪していることからすると10級10号に相当するとして、30年間27%の労働能力喪失を認めた(大阪地判平20.3.14)

後遺障害等級との関係で高い喪失率が認められた例

精神・神経症状

昼間は会社作業員として夜間は寿司店配送運転手として二ヶ所に従事していた被害者男性(37歳)につき、自賠責は軽度の四肢不全麻痺(12級)としたが、握力等低下で労働能力喪失の程度は通常の12級より高度であるとして、29年間20%の喪失率を認めた(大阪地判平11.2.23)

看護師女性(固定時38歳)の右臀部から下肢にかけての冷感・疼痛等座骨神経症状(12級)につき、事故後5年間(症状固定後も含む)にわたり400回超の神経ブロックによる治療を行っていること等から、28年間20%の労働能力喪失を認めた(仙台地判平16.9.3)

看護師女性(事故時21歳・固定時27歳)の半月板損傷後の左膝関節痛等(12級12号)につき、看護師一般の就労状況(業務内容)や事故後の就労形態(週1,2回程度、訪問入浴やデイサービス等の業務に従事)に照らして労働能力制限の割合が比較的大きく、後遺障害の内容や治療経過(6回の手術を余儀なくされた)からは将来、症状の大きな改善を期待できないとして、賃金センサス女性看護師全年齢平均478万5200円を基礎に、10年間17%、その後30年間14%の労働能力喪失を認めた(大阪地判平18.8.31)

目や耳の障害

看護師女性(固定時50歳)の両眼滑車神経麻痺による正面視の複視(10級)につき、自賠責保険の労働能力喪失率表は従事する職種等を考慮しない一般的なものであるから、被害者の職種等により労働能力喪失率が増減する場合もあるとし、看護師という職業に眼の異常が及ぼす影響は多大で退職を余儀なくされたこと、現在は生命保険のパート、コンビニでのアルバイトで収入を得るにとどまっていること等から、17年間40%の労働能力喪失を認めた(東京地判平18.12.25)

会社員女性(固定時31歳)の左足関節機能障害(12級7号)、複視(14級相当、併合12級)につき、左眼周辺の痛み、眼精疲労、左目流涙症、左眼周囲不快感の症状が残り、パソコン操作や自動車運転がしづらい等の種々の支障が生じていること、就労時間が8時間から4時間程度に減少したことに伴い収入が減少していること等を考慮し、36年間20%の労働能力喪失を認めた(名古屋地判平19.9.21)

上肢・下肢の機能障害等

10歳男児の左股関節、左膝関節機能障害、左下肢神経障害、腹部醜状瘢痕、右睾丸欠損、陰茎一部欠損(併合10級相当)につき、18歳から67歳まで40%の労働能力喪失を認めた(大阪地判平1.9.19)

会社員女性(35歳)の骨盤骨変形(12級5号)、左腓骨偽関節(8級9号)、左下肢短縮(10級8号)、左足関節機能障害(10級11号)、左下肢醜状(12級相当)、右下肢醜状(14級5号、併合7級)につき、32年間60%の労働能力喪失を認めた(東京地判平13.7.16)

被害者男性(固定時45歳)の右下肢1センチ短縮、約30度の外旋変形(12級8号)につき、立位での荷重バランスが悪く1時間以上起立不能で、時間給のアルバイトの職にしかつくことができず事故前より収入が大幅に減収したとして、22年間20%の労働能力喪失を認めた(横浜地判平13.10.19)

農学部造園科を卒業し造園設計の仕事に携わってきたアルバイト男性(固定時27歳)の前腕部の知覚鈍麻、しびれ等(12級12号)につき、腕関節の可動域制限は参考運動が制限されているに過ぎないとしながら、造園設計の業務に相当の影響があるとして、40年間20%の労働能力喪失を認めた(東京地判平17.6.30)

その他

有職定時制男子高校生(固定時27歳)の声帯直下の気管部形成による発生障害、左握力低下、左肩関節可動域減少等(12級)につき、会話機能が充分でなく対人折衝が困難、運動制限等から、40年間25%の労働能力喪失を認めた(東京地判平2.7.12)

タクシー運転手男性(固定時59歳)の外傷性頸部症候群による左耳鳴り、難聴(14級相当)につき、8年間14%の労働能力喪失を認めた(岡山地判平5.4.23)

自賠責保険における既存障害の等級認定が否定、もしくは、より下位等級が認定された例

男子高校生(固定時19歳)につき、自賠責が5ヶ月前の転倒事故による脳挫傷痕既存障害(12級12号)とする加重障害(5級2号)としたのに対し、既存障害を否定して、48年間79%の労働能力喪失を認めた(横浜地判平11.2.24)

会社員男性(固定時32歳)につき、自賠責は併合4級(高次脳機能障害5級2号、嗅覚障害12級相当)で既存障害(うつ病、仰うつ状態)9級10号の加重障害に該当するとしたが、既存障害はかなり改善していたものの睡眠障害は残存していたこと等から12級に相当するが、回復可能な障害で完治までの期間は長くても3年と認め、復職時の報酬として予定されていた年収(425万円余)を基礎に、労働能力喪失率を92%とし、67歳までの35年間のうち当初の3年間につき12級の既存障害(労働能力喪失率14%)を差し引いて算定した(東京地判平20.3.19)

 

 

 

 

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