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慰謝料 - 後遺症慰謝料の事例

後遺症慰謝料は、後遺症が残ったことから受ける精神的苦痛に対する賠償です。その症状別に自賠責の定める「後遺障害等級(1級~14級)」によって基準が定められています。

 

[日弁連の損害賠償額算定基準 被害者本人の後遺症慰謝料]

第1級  2800万円 第9級   690万円
第2級  2370万円  第10級   550万円
第3級  1990万円 第11級   420万円
第4級  1670万円 第12級   290万円
第5級  1400万円 第13級   180万円
第6級  1180万円 第14級   110万円
第7級  1000万円 無等級     ※
第8級   830万円

●後遺障害が無等級の場合でも、その状態によっては慰謝料が認められることもあります。

●事故態様や加害者の対応によっては慰謝料の増額が認められることもあります。
●重傷の後遺障害がある場合には被害者だけでなく、被害者の近親者にも慰謝料が認められることもあります。

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例えば(1)

交通事故で1級3号の後遺症が残ってしまった大学院生(27歳)の場合…

本人分3000万円、父母各400万円、合計3800万円の後遺症慰謝料が認められました。

 

例えば(2)

交通事故で植物状態になってしまった女子短大生(18歳)の場合…

本人分3000万円、父母各300万円、合計3600万円の後遺症慰謝料が認められました。

 

例えば(3)

交通事故で物が二重に見えるようになってしまった(10級相当)看護師(50歳)の場合…

両目の麻痺は仕事に与える影響が大きいとして800万円の後遺症慰謝料が認められました。

 

例えば(4)

交通事故で首の痛み、正常な歩行ができない、股関節の痛みが残ってしまった男性の場合…

後遺症等級に認定されなかったが、100万円の後遺症慰謝料が認められました。

被害者本人の後遺症慰謝料

1級の事例

痴呆・尿失禁等の精神障害(2級2号)と視力障害(2級1号、併合1級)の60歳主婦(障害者の夫と姑の介護をしながら農業に従事)につき、傷害分400万円のほか、本人分3200万円、近親者2名分580万円の後遺障害分合計3780万円を認めた(青森地判平13.5.25)

高次脳機能障害等(1級3号)と1眼摘出(8級1号、併合1級)の会社員女性(事故時21歳・独身)につき、生死の境をさまよい6回の大手術を受けたこと、若くして重大な障害を負ったこと、外貌にも著しい醜状が残ったこと、両親の介護の精神的負担も極めて重いこと等を考慮して、傷害分480万円のほか、本人分3200万円、父母各400万円の後遺障害分合計4000万円を認めた(東京地判平15.8.28)

高次脳機能障害(1級3号)の男子大学院生(固定時27歳・博士課程在学)につき、傷害分600万円のほか、本人分3000万円、父母各400万円の後遺障害分合計3800万円を認めた(東京地判平16.6.29)

脳挫傷等で299日入院し、遷延性意識障害等(1級3号)のアルバイト男性(37歳)につき、傷害分350万円のほか、状態が重篤であること、加害者が酒気帯びで制限速度超過だった等その態様が悪質であることから、本人分3200万円、父母各300万円の後遺障害分合計3800万円を認めた(千葉地佐倉支判平18.9.27)

2級の事例

事理弁識能力を欠く状態(2級3号)となった警備員男性(54歳・生活保護受給)につき、傷害分245万円、後遺障害分2500万円を認めた(大阪地判平18.9.29)

高次脳機能障害(2級3号)の男子専門学校生・アルバイト(固定時20歳)につき、傷害分300万円のほか、本人分2600万円、母200万円、後遺障害分合計2800万円を認めた(大阪地判平19.6.20)

高次脳機能障害(2級3号)で常時監視必要な男子中学生(固定時13歳)につき、傷害分350万円のほか、本人分2500万円、父母各300万円、後遺障害分合計3100万円を認めた大阪高判平19.9.20)

3級の事例

右下腿部切断、右大腿部の醜状痕、左下肢の運動制限、左大腿部の醜状痕等(併合3級)の男性作業員(固定時20歳)につき、2000万円を認めた(札幌地判平13.8.30)

高次脳機能障害(5級2号)、複視(14級相当)・右眼視野欠損(13級2号)等の眼の障害(併合13級相当)、そしゃく障害(10級2号)、骨盤骨変形(12級5号)、外貌醜状(7級12号)、左下肢の瘢痕(14級5号、併合3級)の主婦(固定時32歳)につき、2200万円を認めた(東京地判平18.3.29)

4級の事例

右上肢の機能障害(5級6号)、右肩関節脱臼に伴う右鎖骨の上方転移(12級5号、併合4級)の男子大学生(21歳)につき、体育大学に通い、将来高い運動能力の要求される仕事に就くことを希望していたが、事実上不可能となったこと等の事情に照らし、1700万円を認めた(大阪地判平17.12.9)

心房破裂による心房縫合、腹壁瘢痕ヘルニア、腸閉塞等(5級3号)、胸椎圧迫骨折(11級7号、併合4級)の主婦(固定時45歳)につき、胸部から下腹部にかけて縦走する傷痕はV字形状にくぼんでえぐれ、臍や腹部はでこぼこした様相を呈しており、通常の感受性のある女性なら精神的苦痛を感じずにはいられないほど痛ましい状態であるとして、傷害分440万円、後遺障害分1800万円を認めた(仙台地判平19.2.9)

左下肢喪失(4級5号)、右大腿醜状(14級5号、併合4級)の生活保護受給者の女性(年齢不詳)につき、長男が退院後再入院まで3ヶ月程度介護したことなどを考慮し、傷害分353万円、後遺障害分1750万円を認めた(名古屋地判平20.6.25)

5級の事例

小学校3、4年程度への知能低下(5級)の女子中学生(13歳)につき、傷害分330万円、後遺障害分1750万円を認めた(大阪地判平7.7.14

高次脳機能障害(5級2号)の男子高校生(固定時19歳)につき、傷害分350万円、後遺障害分1600万円を認めた(前橋地高崎支判平18.9.15)

高次脳機能障害(5級2号)の会社員男性(固定時56歳)につき、傷害分288万円のほか、顕著な認知障害、人格変化が生じ、随時の付添、看視、声かけが必要になった後遺障害の内容程度を考慮し、後遺障害分1500万円を認めた(名古屋地判平19.12.7)

頭部外傷後の精神・神経系統の障害(5級2号)の生物学的には女性、心理的には男性の性同一性障害者(事故時25歳)につき、後遺障害のため性別適合手術を断念せざるを得なくなったこと、念願の職種であった建築業等に就くことも困難として、逸失利益において賃金センサス*男性高卒全年齢平均の8割を基礎に労働能力喪失率79%を41年間認めたうえで、嗅覚脱失、味覚障害、難聴も考慮し、1700万円を認めた(岡山地倉敷支判平20.10.27)

6級の事例

外貌醜状(7級12号)、右眼球障害(12級1号、併合6級)の生保外務員(女・36歳)につき、逸失利益において労働能力喪失率40%を20年間、同14%を11年間認めた上で、傷害分200万円、後遺障害分として認定外の歯牙障害も考慮し1300万円を認めた(名古屋地判平14.8.14)

高次脳機能障害(7級4号)、左鎖骨の変形障害(12級5号)、左耳難聴(12級相当、併合6級)の、早期退職して転職した直後の非常勤嘱託職員男性(固定時55歳)につき、本格的な再就職、長らく単身赴任のため別居していた家族との円満な同居生活、趣味など、勤務先を退職していたときに考えていた希望のほとんど全てをかなえられなくなったこと等から、傷害分150万円のほか、本人分1300万円、妻100万円、後遺障害分合計1400万円を認めた(仙台地判平20.3.26)

脳外傷等頭部外傷、右膝関靱帯損傷、上下顎骨骨折、顔面骨骨折による顔面部の醜状障害等(併合6級)の会社員女性(固定時37歳)につき、逸失利益において労働能力喪失率67%を30年間認めた上で、傷害分400万円のほか、外貌醜状があることを考慮して後遺障害分1300万円を認めた(東京地判平20.5.12)

7級の事例

脳挫傷、右不全麻痺、知能低下(7級)の兼業農家男性(60歳)につき、傷害分300万円、後遺障害分1100万円を認めた(東京地判平8.2.28)

左上肢のRSD(労働能力喪失率56%)のシステムエンジニアの男性(固定時36歳)につき、現在の状態を維持するために今後も治療を続けなければならないことなどから、傷害分120万円、後遺障害分1200万円を認めた(東京地判平19.7.23)

顔面醜状及び疼痛(7級12号相当)の旅行会社添乗員女性(固定時27歳)につき、逸失利益において労働能力喪失率10%を10年間認めた上で、傷害分120万円のほか、加害者が酒気帯び、制限速度25km超過で追突しそのまま現場から立ち去ったという悪質性、被害者が20歳代の未婚の女性であり高校生の頃から希望していた海外旅行添乗員になることを断念したこと等を斟酌し、後遺障害分1250万円を認めた(東京地判平20.7.22)

8級の事例

右眼失明(8級)、頭部手術痕(6.5cm×19.5cm)等の被害者男児(10歳)につき1000万円を認めた(東京地判平4.1.21)

右大腿部開放骨折、右膝前後十字靱帯断裂で症状固定までの2170日間に415日入院、1254日通院して、右膝関節障害(10級)、右足関節障害(12級)、右下肢醜状障害(12級、併合8級)の女性被害者(44歳)につき、傷害分440万円、後遺障害分950万円を認めた(東京地判平14.3.22)

人工肛門、骨盤骨変形等(併合8級)のアルバイト女性(19)につき、女性でありながら生涯にわたり人工肛門を装着しなければならないこと、骨盤骨の変形により通常分娩が困難であること、腹部等に複数の醜状痕を残していること等から、傷害分280万円、後遺障害分1200万円を認めた(大阪地判平17.1.31)

足指の機能障害(9級15号)、左足瘢痕(12級13号、併合8級)の女子小学生(事故時11歳)につき、後遺障害の内容が多岐にわたり、かつ重篤で経過観察や継続治療を要し、今後も手術を繰り返す可能性があること、醜状のため素足になることが困難であることなどを考慮して、傷害分368万円、後遺障害分996万円を認めた(大阪地判平19.12.14)

9級の事例

右足関節運動制限、左足関節運動制限等(併合9級)のスナック経営者女性(41歳)につき、傷害分250万円、後遺障害分700万円を認めた(京都地判平8.4.10)

右股関節、右膝関節及び右足関節の可動域制限(準用10級)、右足関節の変形(12級8号)、右下肢の短縮障害(13級9号)、右下肢の醜状痕・植皮術後瘢痕(12級、併合9級)の会社代表者男性(症状固定時58歳)につき、750万円を認めた(名古屋地判平18.12.13)

10級の事例

左足関節の機能障害、成長障害、左足関節部の植皮による瘢痕、採皮部・左肩甲部の瘢痕等(10級11号)の被害者男児(8歳)につき、傷害分140万円、後遺障害分560万円を認めた(神戸地判平9.1.22)

複視(10級相当)の看護師女性(症状固定時50歳)につき、両眼の麻痺の場合には労働能力の喪失に与える影響は大であるとして、800万円を認めた(東京地判平18.12.25)

11級の事例

下顎神経障害(12級)、歯牙損失(12級)。外貌醜状(12級、併合11級)の会社員女性(27歳)につき、未婚女性として多大な苦痛を受けることを考慮して500万円を、認めた(東京地判平13.8.7)

歯牙障害(加重後の等級13級)、頸部痛や背部痛等(14級10号)、肩甲部痛や上肢シビレ等(12級12号)、顔面の三叉神経麻痺(12級12号、併合11級)の主婦兼女優・ホステス(事故時38歳)につき、後遺障害の内容、眼瞼下垂などによりホステス業及び女優としての活動が困難になったこと、心理的なストレス、事故後の加害者側の対応等を考慮して590万円を認めた(東京地判平16.3.23)

頭部外傷後の記憶障害(12級12号)、複視(12級相当、併合11級)の勤務医男性(症状固定時37歳)につき、障害の内容、これに伴う日常生活への影響、本件事故の態様等を考慮して500万円を認めた(東京地判平18.9.27)

12級の事例

顔面醜状(12級)の女子中学生(事故時14歳・固定時18歳)につき、逸失利益を認めたうえ、傷害分100万円、後遺障害分550万円を認めた(浦和地判平6.7.15)

頑固な左上腕部痛(12級)の主婦の女性(固定時43歳)につき、重度の肢体不自由児である子の訓練介護ができなくなり、子の身体機能に後退がみられるようになったこと、子に独自の慰謝料請求が認められないこと等を考慮して100万円を加算し、500万円(傷害分を含む)を認めた(京都地判平6.8.30)

頭蓋骨骨折、脳挫傷等の重傷を負い、入院93日、通院214日の治療後、嗅覚脱失(12級相当)、味覚減退、目眩、頭痛等(14級10号)の会社員男性(固定時45歳)につき、12級相当の逸失利益を認めたうえ、傷害分と後遺障害分を合わせて550万円を認めた(大阪地判平9.8.28)

左腕神経損傷(自賠責は12級12号)の理容店兼美容院経営者男性(固定時29歳)につき、理容・美容技術を十分に駆使し得ない状態となったとして労働能力35%の喪失、後遺障害分616万円を認めた(仙台地判平13.6.22)

13級の事例

労働能力に影響のない蝶骨障害、左手の障害(13級6号)の主婦(67歳)につき、約30年にわたってやっていた能管(能の舞台等で演奏する横笛)が全くできなくなり小鼓が長時間続けられなくなったとして、傷害分210万円、後遺障害分300万円を認めた(札幌地判平13.11.21)

左手ひとさし指欠損等(13級相当)の会社員・メカニック男性(固定時26歳)につき、左手ひとさし指の激痛、左足の痛みで立ち作業が困難となりメカニックを断念したことに鑑み、傷害分70万円、後遺障害分200万円を認めた(大阪地判平18.1.12)

頚部痛(14級10号)、視力低下(13級1号、併合13級)の主婦(固定時51歳)につき、220万円を認めた(名古屋地判平19.4.25)

14級の事例

鼻がゆがみ、下肢部に瘢痕拘縮性ケロイド(14級5号)、歯牙障害(14級2号)、局部の神経症状(14級10号、併合14級)の独身女性(事故時24歳)につき、傷害分150万円、後遺障害分300万円を認めた(神戸地判平8.7.11)

膝関節と頸椎の神経症状(14級10号、併合14級)を残す会社員男性(固定時32歳)につき、事故が退職に原因を与えたことは否定できないこと、被害者に落ち度はないこと、症状固定後も自己負担で接骨院等に通っていること、加害者の事故後の対応には誠実さを欠いていたこと等を考慮して250万円を認めた(東京地判平16.2.27)

右下肢の醜状痕(14級5号)、背中の醜状痕(等級非該当)の女子児童(9歳)につき、逸失利益において労働能力喪失率5%を就労後5年間認めた上で、醜状について心ない言葉を受けることが多いなど、種々の支障が生じていることから250万円を認めた(横浜地判平21.4.23)

その他の事例

非器質性の左手母指痙性内転位(限局性ディストニア)等(等級非該当)のアルバイト女性(固定時25歳)につき、被害者の症状は精神的要因により発症したものであるが、精神的要因が症状に寄与したりすること自体は別段異常なことではないとして、逸失利益については労働能力喪失率14%を41年間認めた上で、この事故により著しい身体的精神的苦痛を被っていること等から、傷害分200万円、後遺障害分420万円を認めた(名古屋地判平21.2.27)

近親者の後遺症慰謝料

後遺症は死亡と異なりますが、死亡の場合でなくても、死亡にまさるとも劣らない精神的苦痛を受けた場合には、近親者にも慰謝料請求権が認められます(最判昭33.8.5)。

1級の事例

植物状態(1級)の女子小学生(固定時8歳)につき、傷害分424万円、後遺障害分2800万円の他、未婚の母として単身被害者を養育しその成長を楽しみにしていたが、事故で被害者の進学等の夢を奪われ、老いるまで被害者の看護にあたらなければならず、被害者の将来に不安を抱くこと等を総合して、母に800万円を認めた(横浜地判平12.1.21)

凶暴性を伴う高次脳機能障害(1級3号)の主婦(固定時57歳)につき、本人分2800万円、夫及び長男各250万円、次男及び三男各150万円、合計3600万円を認めた(横浜地判平14.9.25)

四肢不全麻痺等(1級3号)の兼業主婦(固定時45歳)につき、傷害分360万円のほか、本人分2800万円、夫400万円、子2人各200万円、父母各100万円、後遺障害分合計3800万円を認めた(東京地判平16.5.31)

全身緊張、排泄・意識障害等(1級3号)の財団職員男性(固定時45歳)につき、傷害分417万円のほか、本人分2700万円、妻および子3人各300万円、後遺障害分合計3900万円を認めた(大阪地判平17.3.25)

高次脳機能障害(1級1号)等のアルバイト男性(固定時25歳)につき、傷害分350万円のほか、本人分2800万円、父母各500万円、後遺障害分合計3800万円を認めた(横浜地判平20.3.28)

2級の事例

高次脳機能障害(3級3号)、嗅覚障害(14級)、醜状障害(12級14号、併合2級)の兼業主婦(固定時44歳)につき、本人分2300万円、介護のため多くの負担を余儀なくされ歯科クリニックの収入も減少した夫300万円、子2人各100万円、合計2800万円を認めた(神戸地判平18.6.16)

高次脳機能障害(3級3号)等(併合2級)の男子高校生(固定時20歳)につき、傷害分500万円のほか、本人分2200万円、被害者の暴言・暴力にさらされている父母各300万円、後遺障害分合計2800万円を認めた(大阪地判平18.11.16)

高次脳機能障害、右下肢短縮等(併合2級)のトラック運転手男性(固定時40歳)につき、傷害分400万円のほか、妻が精神状況が大きく変化した夫を将来も看護しなければならないこと、子2人も強いショックを受けたと推認できることから、本人分2370万円、妻200万円、子2人各100万円、合計2770万円を認めた(東京地判平20.1.24)

3級の事例

四肢麻痺等、神経性膀胱障害等(3級)の会社員男性(固定時68歳)につき、入院分300万円のほか、本人分1800万円、妻100万円、子100万円、後遺障害分合計2000万円を認めた(東京地判平2.8.23)

高次脳機能障害(3級)の会社員男性(固定時40歳)につき、傷害分400万円のほか、本人分1800万円、妻300万円、後遺障害分合計2100万円を認めた(大阪地判平17.4.13)

4級の事例

高次脳機能障害(5級)、嗅覚障害(12級)、味覚障害(12級、併合4級)の嘱託職員男性(固定時45歳)につき、本人分1700万円、妻200万円、合計1900万円を認めた(京都地判平17.12.15)

6級の事例

高次脳機能障害(7級4号)、左鎖骨の変形(12級5号)、左耳難聴(12級相当、併合6級)の非常勤嘱託職員男性(固定時55歳)につき、本人分1300万円、長らく単身赴任だった被害者が早期退職して同居を再開した矢先の事故により暴言や暴力を行う被害者との生活を余儀なくされた妻100万円、後遺障害分合計1400万円を認めた(仙台地判平20.3.26)

7級の事例

左下肢短縮による歩行障害等(7級)の主婦(72歳)につき、傷害分300万円のほか、本人分800万円、被害者が生命を害された場合にも比肩しうる面があるとして夫(82歳)100万円、後遺障害分合計900万円を認めた(横浜地判平6.6.6)

その他の後遺症慰謝料

自賠責14級に至らない後遺障害があった場合等

自賠責14級に至らない後遺障害があった場合でも、それに応じた後遺障害慰謝料が認められることがあります。

顔面醜状(下顎部に長さ4cm、幅0.5cmの瘢痕)の会社員女性(固定時20歳)につき、自賠責保険12級14号の認定基準に達しないとしても、瘢痕の部位、大きさ、色彩や被害者の性別、年齢、職業等の諸般の事情を総合して判断し、傷害分130万円、後遺障害分200万円を認めた(東京地判平7.1.27)

左膝関節及び左足関節の障害(併合11級)、肩甲骨の変形(12級5号)、右下腿部瘢痕(12級併合10級)の専属的下請けとしての運送業男性(固定時48歳)につき、等級非該当ではあるが右下腿骨慢性骨髄炎に伴い定期的な膿の排出が必要な後遺症が残存したことを考慮し、傷害分276万円、後遺障害分600万円を認めた(大阪地判平14.1.24)

下肢の手のひらの大きさに至らない醜状痕(等級非該当)の被害者女児(10歳)につき、150万円を認めた(東京地判平14.11.25)

自賠責の基準に達しない左示指の中手指節関節機能障害、左肩関節機能障害、及び自賠責保険では認定基準のない深視力(立体視能力)喪失の消防士男性(固定時54歳)につき、深視力の喪失で大型免許を取り消され、左示指や左肩関節の障害のため消防士として十分な働きができず退職したことを考慮して、労働能力喪失率15%、傷害分235万円、後遺障害分300万円を認めた(大阪地判平18.6.13)

より上級の等級に至らない場合

特定の後遺障害等級の認定がなされ、より上級の等級に至らなかった場合でも、症状によっては認定等級の慰謝料に相当額が加算されることがあります。

例. 女性の外貌醜状痕で12級(女子の外貌に醜状を残すもの)には該当するが
7級(女子の外貌に著しい醜状を残すもの)には至らない等

醜状痕(左大腿部に縦約12cm、横8cm、左膝裏に縦約10cm、横4cm等・14級5号)の高校生女子(3年生)につき、労働能力の喪失に着目した自賠法施行令別表を機械的にあてはめるのではなく、被害者の受けた客観的な精神的苦痛を具体的に判断するべきとして400万円を認めた(神戸地判平7.11.8)

左上肢及び左膝の神経症状(併合14級)の鍼灸マッサージ自営業男性(固定時50歳)につき、傷害分138万円のほか、仕事内容、事故前後の眼の障害内容の推移(多少あった視力を完全に喪失したが自賠責の後遺障害等級としては考慮されず)等を勘案して後遺障害分330万円を認めた(大阪地判平12.1.27)

歯牙障害(14級12号)、顔面に醜状瘢痕2ヵ所(いずれも単独では12級14号の基準には達しないがほぼこれに近い大きさを有し、特に上唇瘢痕拘縮が顔面のほぼ中央部の位置にある)の看護専門学校生(女性・事故時29歳)につき、結婚相手を捜す上で全く影響がないとは言い切れないとして200万円を認めた(大阪地判平13.4.24)

逸失利益の算定が困難または不可能な場合に慰謝料で斟酌した例

外貌醜状の事例
■7級の事例

顔面醜状(7級)の専業主婦(30歳)につき、家事能力が本件後遺症によって現実に低下したとは認められないと逸失利益を否定したが、これを斟酌して1200万円を認めた(仙台地判平7.2.6)

額全面の点状瘢痕等(7級)のホテル勤務女性(22歳)につき、顔面醜状のためモデルになることを諦めたこと、前額部の醜状痕が肌の調子により浮き出た際、同僚からどうしたのかと聞かれて辛い思いをしていること、左上腕部の瘢痕を気にして半袖等の着用は控えていること、本件事故の前後を通じて給与は変わっていないため逸失利益を認定しないこと等に鑑み、傷害分130万円、後遺障害分1450万円を認めた(大阪地判平11.8.31)

顔面に4本の線状痕(7級)の被害者女性(固定時12歳)につき、逸失利益を労働能力喪失率25%として認めたうえで、後遺障害の内容・程度、女子の外貌醜状の場合は労働能力喪失が必ずしも逸失利益に反映されないこと等を考慮して、傷害分110万円、後遺障害分1350万円を認めた(大阪地判平11.12.21)

顔面醜状(7級12号)、左膝関節機能障害(8級7号)、左大腿部醜状(14級5号)、採骨による骨盤変形(12級5号、併合5級)の主婦(事故時44歳)について、治療期間約3年の傷害分600万円、顔面醜状は考慮しないで労働能力逸失率を60%としたことから、後遺障害分1700万円を認めた(東京地判平14.4.16)

■12級の事例

顔面醜状(12級)、頭痛等(14級10号、併合12級)のクラブママ(事故時41歳)につき、外貌醜状について逸失利益を認めないこと、患部にガラス片が残存していること等から950万円を認めた(東京地判平3.9.27)

骨盤骨変形(12級)、外貌醜状(12級、併合11級)の女性(固定時17歳)につき、逸失利益は骨盤骨の変形障害による14%喪失としたうえで、550万円を認めた(東京地判平13.12.18)

■14級の事例

女児(事故時3歳)につき、左足関節部内側の肥厚性瘢痕(14級)に痒みや痛みがあること、将来の表皮移植手術費用は実施の有無、費用の算出等が確実なものではなく独立の損害項目として認められないこと、後遺障害の部位程度からみて労働能力に影響を与えると認めるのが困難であり将来の運動障害の発生も蓋然性が不明であるとして逸失利益が否定されることを斟酌し、傷害分60万円、後遺障害分350万円を認めた(東京地判平6.9.20)

頭部外傷後遺症(14級10号)、左肩から胸部の醜状痕(14級相当、併合14級)のアルバイト女性(固定時23歳)につき、中卒女性賃金センサス*を基礎に5年間喪失率5%で逸失利益を認めたうえで、20歳代の未婚女性であることを考慮して180万円を認めた(大阪地判平14.4.9)

歯牙障害の事例
■11級の事例

脊柱障害(11級)、歯牙障害(11級、併合10級)の会社員男性(固定時45歳)につき、歯牙障害について逸失利益を認められないことを考慮して、傷害分215万円、後遺障害分700万円を認めた(事故日平12.10.9 東京地判平16.8.25)

■12級の事例

歯牙障害(12級3号)、外貌醜状(右頬部に長さ12cm、約4cm、約3cmの線状痕12級13号、併合11級)の被害者男性(固定時23歳・独身)につき、逸失利益を否定したが、105日入院し約16ヵ月(実日数40日)通院した傷害分210万円、後遺障害分として、通常の11級の慰謝料額にその3分の2を加算した650万円を認めた(東京地判平14.1.15)

7歯の歯科補綴(12級)、顔面醜状(12級、併合11級)の会社員男性(オペレーター・固定時24歳)につき、労働能力に直接的な影響を与えているとまではいえないが、対人関係に消極的となっており、労働意欲その他労働能力に間接的に影響を及ぼしていることから630万円を認めた(東京地判平17.12.21)

■14級の事例

歯牙損傷(14級2級)の男子専門学校生・アルバイト(固定時19歳)につき、後遺症が実質的に見て13級4号に準じて取り扱って差し支えないこと、顔面醜状痕の存在及び歯牙損傷が逸失利益に反映されない点を考慮して、傷害分170万円、後遺障害分350万円を認めた(大阪地判平11.8.24)

再治療の可能性のある歯牙障害(14級)、顎関節症(等級非該当)の若年女性(年齢不明)につき、逸失利益は否定したが、170万円を認めた(大阪地判平13.8.23)

嗅覚障害の事例

嗅覚障害(12級相当)、顔面醜状(14級11号、併合12級)の男子大学生(事故時31歳)につき、逸失利益が認められないことを考慮し、600万円を認めた(東京地判平11.5.25)

骨盤骨変形の事例

骨盤骨の著しい奇形(12級)、右足外側にケロイド状線状痕(14級)、右足神経症状(14級、併合12級)の臨時社員女性(23歳)につき、就労能力に特段の影響がないとし、傷害分160万円、後遺障害分300万円を認めた(京都地判平7.12.21)

骨盤変形(12級5号)等の公務員男性(24歳)につき、現実の減収がなく逸失利益を認め難いが、職場での不自由、昇格面や長期的将来における不安等を考慮し、600万円を認めた(名古屋地判平15.12.19)

その他の事例

左睾丸喪失の心因性による生殖機能障害(11級)、右手関節障害(12級、併合10級)の派遣会社員男性(固定時25歳)につき、生殖機能障害が逸失利益に反映されない点を考慮して、560万円を認めた(京都地判平12.8.17)

4ヵ月の入院、31ヵ月の通院をし、腰部以下の運動障害(9級10号)、脊柱変形(11級7号)、
左腎萎縮(7級5号)、骨盤骨変形(12級5号、併合6級)の美術講師男性(固定時31歳)につき、左腎萎縮、インポテンツ等婚姻生活の制限が強いられることが予想される(左腎萎縮・逆行性射精及び勃起力の低下(7級5号)については逸失利益を否定)として、傷害分を含む慰謝料総額3296万円を認めた(東京地八王子支判平13.9.27)

精神神経障害(9級10号)、顔面醜状(12級14号)、言語障害(10級2号)、眼瞼障害(12級2号)、聴力障害(14級相当、併合8級)のパート主婦(固定時46歳)につき、顔面醜状、言語障害、眼瞼障害、耳鳴りは労働能力への直接的な影響を与えていないが、労働意欲その他労働能力に間接的に影響を及ぼしているとして1300万円を認めた(東京地判平17.12.21)

左精巣摘出(13級7号)の男子学生(事故時20歳)につき、逸失利益は否定したものの、270万円を認めた(東京高判平20.9.4)

将来の手術費の算定が困難または不可能な場合に、慰謝料で斟酌した例

右股関節脱臼骨折による右下肢短縮、股関節機能障害等(8級)の水道工事現場監督の男性(固定時34歳)につき、将来股関節の人工関節置換手術が必要であるが、時期・費用が不明で、手術により失われる労働能力の程度も判然としないため損害額を算定することが不可能なので慰謝料で考慮するとし、本来の後遺障害分700万円のほかに800万円の慰謝料を認めた(神戸地判平10.9.24)

右脛骨の変形癒合(12級8号)、右第4指DIP関節機能障害(14級8号)、右前腕回外制限等(14級10号、併合12級)の板金士男性(固定時36歳)につき、傷害分300万円、後遺障害分270万円のほか、将来の抜釘術に伴う損害は独立の損害項目として認められないが、抜釘術に伴う危険や各種の損害が発生する可能性があるとして、130万円を認めた(東京地判平11.1.12)

RSDによる左上肢を中心とした機能障害(左頸部から左肩、腕、手、指)、疼痛、知覚障害等(7級4号)の保険会社、女性パート社員(固定時41歳)につき、症状固定後も通院し、RSDの症状の一つであるアロディニアによる疼痛を緩和するため手袋を着用する必要があるが、治療行為としての必要性、通院の回数、手袋の買換の回数、価格、使用頻度等にいずれも不確定的な要素が多いことから慰謝料として斟酌し、傷害分120万円、後遺障害分1500万円を認めた(大阪高判平18.9.28)

 

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